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多くの疑問を残したままアイルトン・セナはこの世を去った

没後20年、そろそろ決着をつける時がきたのかもしれない。

 

なぜ彼は、あんなにも多くの人々に愛されたのか、

なぜ彼は、あそこまでシビアに勝利にこだわったのか、

なぜ彼ほどのドライバーが、サーキットの事故で死んでしまったのか・・・。

 

多くの疑問を残したままアイルトン・セナはこの世を去った。

その「なぜ」という想いが、没後20年経った現在でも多くの人々の心に存在し続けているのだろう。

 

今作を観て思ったのが冒頭の言葉だ。

私は本作品をアイルトン・セナの伝記だとは思わない。

むしろ制作している人間も「なぜ」という気持ちを抱えて、その答えを見つけるために作っているのではないかと思う。

 

だから、30人以上の彼と親交の深かった人物のインタビューを撮り、

良くも悪くも、アイルトン・セナという人物の核心に迫ろうとしたのだろう。

 

かくいう私も、セナのことを知れば知るほど、ある「なぜ」という想いが強くなっていった。

それが「彼ほどのドライバーが、サーキットの単独事故でなぜ死んでしまったのか」ということだ。

彼は誰よりもマシンを自在に操り、他の人が見落としてしまうようなマシンの変化にもいち早く気付いた。

そんなエピソードを山ほど持つセナがそんな重大なトラブルになぜ・・・ と思った。

 

しかし、チームスタッフの証言、カート時代の恩師の証言、そしてそれを聞いた上で観るサーキットでのセナの表情、

それが自分の納得のいく答えを導きだしてくれた。

 

彼も同じ、ひとりの人間だったのだと。

(euro pictures)

アイルトン・セナが亡くなって20年が経つ。

あの日から数えると、気の遠くなるような年月だが、振り返ればあっという間の過ぎてしまったと感じる。

この間、セナに関する本や映像ドキュメント作品はたくさん発売されてきた。

やもすると、近年は「またセナで金儲けしている」と揶揄する声すら聞こえるようになった。

だが、本当のセナ・ファンなら毎年でも関連イベントを開催してほしいし、関連商品もほしいと思う。

それが本音だと思う。ただ、どうしても薄味の企画だったりして、揶揄されても仕方がないと思うこともある。

 

セナ没後20年の集大成となるDVD「アイルトン・セナ 追憶の英雄」は「待ってました!」と叫びたくなる作品だった。NHKの大河ドラマのような、全10巻からなる大作だ。

ブラジルでカートに目覚めた少年時代のセナから、F1にまで登り詰め、そして生涯を閉じた1994年までのセナを追った作品だ。どの巻から観てもいいし、数巻だけ購入して観ても問題ない。作品としては各巻で完結している。

しかし、できれば全10巻を観るべきだと思うし、限定版BOX 購入特典DVDも手に入れてほしい。

この特典DVDは観た方がいい。

 

2010年にイギリスで制作された映画「アイルトン・セナ~音速の彼方へ」は泣けるドキュメントだった。

日本がF1ブームに沸いていたあの当時のセナがそこにいた。宿命のライバルとなるアラン・プロストとの確執や、

政治的な圧力に奔走されたヒーロー像がそこにあった。F1情報の多くがイギリスから輸入され、国内では極端な

「天才セナ vs 悪人プロスト」の構図が作り上げられた。

当時としては、そういう演出も必要だったのかもしれないが、セナやプロストに近い関係者は違和感を抱いていた。

情報が偏っていると。

 

「アイルトン・セナ 追憶の英雄」をオススメしたい理由のひとつは、この企画がイタリアで作られたことだ。

天才セナも悲劇のセナも慈悲深いセナもそこにはいるが、もう少しニュートラルな視点でセナが語られる。

ニュートラルな目線のセナ像が妙に心地よく、なんだか本当のセナに出会えた気がする。

 

この企画のために、30名ほどの関係者に新規で取材が行われた。

一部、過去の取材インタビューも使われているが、過去取材の焼き直しではないのも、このDVDの凄いところだ。

書き切れないぐらいの新たな発見もあったし、同じ出来事でも視点を変えると、そういうふうに見えるんだ

という気づきもあった。いいマシン、いいパーツを手に入れるために、コース以外で「えげつないほどの」戦いが

繰り広げられたこともよくわかった。

 

イタリア人らしい「適当」な箇所もあって、その映像をそこに入れる? というツッコミどころはある。

できればブルーレイの品質で観たかったという要求もある。しかし、まさに集大成と言っていい作品だ。

 

イタリアでは今年(2014年)のセナの命日に合わせて刊行がスタートし、全10巻まで順次発売された。

そのためイタリア・イモラで行われた没後20年の記念式典の様子は最終巻(日本語版のサブタイトルは「リアル・セナ」)に収録されている。日本語版は一気に全10巻が発売される。

もし、セット版を購入されたなら、この最終巻から観るといいと思う。

今でもセナは世界中の人々の中の英雄であることがわかる。式典に参加したドライバーの声も胸を打つ。

ただ、寂しかったのは、そこにミハエル・シューマッハの姿がなく、

式典に参加しコメントを寄せたアンドレア・デ・チェザリスが、もうこの世にいないことだった。

 

「コイツ、どうしてもセット版を購入させようとしているな」と思われると困るのだが、

特典DVD「関係者が語るセナの真実」は良かった。

伊藤万里夫氏(当時、マールボロ・レーシングの広報活動に携わった)、桜井淑敏氏(元ホンダF1総監督)、

菅家安智氏(カート時代のチームメイト)の3人の日本人関係者が登場するが、本当にいい意味で本編DVDの内容を

補完してくれる。個人的には改めて聞く桜井さんのセナ像やセナ獲得の裏側は良かったし、菅家さんが語る

カートドライバーとしてのセナ像も新鮮だった。

 

このDVDの売上の一部は、もちろんセナ財団に寄付される。

家族を大切にし、恵まれない人たちに慈悲深かったセナの意志が延々と続くことは、

当時、一ファンとして鈴鹿のS字からセナのマクラーレン・ホンダを追った身として喜びである。

1989年からは伝える側となり、ある意味、

「天才セナ vs 悪人プロスト」の構図を作り上げるのに加担したかもしれないので、偉そうなことは言えないけれど。

(F1モデリング 編集長 左近俊彦様)

ニュートラルな目線のセナ像が妙に心地よく、なんだか本当のセナに出会えた気がする。

以下、随時更新予定

売上げの一部は
アイルトン・セナ財団へ
寄付されます。

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